奨学金制度と大学進学

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奨学金の返還が滞ると最悪ブラックリスト入り

奨学金について次のように問題をとりあげている報道がされています。

NHK 奨学金が返せない 2013年4月3日

http://www.nhk.or.jp/ohayou/marugoto/2013/04/0403.html

「奨学金」が返せない 困窮する滞納者33万人

保険会社の契約社員として働く35歳の男性です。 東京都内の私立大学に進学する際、奨学金573万円を借り入れました。 卒業後は正社員での就職を希望していましたが、就職活動がうまくいかず、かないませんでした。 今の月収は20万円に届かず、奨学金の返済1万2,000円は大きな負担です。 生活費を支払うと、預金残高が千円を切ってしまう月が続いています。 奨学金を借りた男性 「非正規社員だと時給勤務で、月々によって収入も変わってくる。 もう(奨学金を)返せなくなってしまう不安はある。」

日本テレビ 重い奨学金で破産も 経済格差が希望格差に 2016年2月16日

http://www.news24.jp/articles/2016/02/16/07322504.html

奨学金には2種類あるのをご存じだろうか。返さなければならないものと、返さなくてもいいものだ。実は、文科省が所管する日本学生支援機構が給付している奨学金はすべて「貸与型」、つまり返さなければいけない奨学金。貸与型には、利子のあるものとないものの2種類があるが、共に返済が必要な点ではローンと同じだ。  中には、卒業後に返済に追われて自己破産したりするケースもあるそうだ。生活が苦しいために奨学金を借りるわけだが、これでは本末転倒だ。

これは奨学金制度に問題があるわけではなく、大学全入時代の問題だ。

大学全入時代とは

2009年ごろから日本全ての大学の定員総数より、入学希望者が少ない状態が続いている。これにより大学教育の質の低下、定員割れ、大学のレジャーラン化などが叫ばれている。誰でも大学に進学できることから返済の意思すらない人が奨学金を借りて進学しているケースもあり、奨学金の滞納と密接な関係を持っている。

もし、奨学金を滞納してしまい、ブラックリストに載ると何がおきるのか?

ブラックリストに登録されるとどこの信用機関(銀行、消費者金融、信用金庫など)でもクレジットカードは作れないし、マイカーローンを組むこともできない、もちろんマイホームローンなんて契約するのは100%不可能になります。もっと身近な例をあげると携帯電話の割賦購入も不可能になります。インターネットの通販もクレジットカードを使うことからできなくなりますね。自己破産者の1歩手前の状態にあると言っていいだろう。

奨学金を滞納したことでブラックリストに登録される具体的な日程

「1日でも返済が遅れるとブラックリスト入りするのか?」そんな心配をしてしまうこともあるだろう。実のところ1度返済が遅れた程度ではブラックリストに登録されることはない。どれくらい返済が遅れるとブラックリストに登録されるのかまとめよう。

奨学金返還の口座振替日

奨学金の返還は原則毎月27日に行われます。(27日が金融機関の休業日にあたる場合は、口座振替は翌営業日)これは給料の振込み日が25日に多いことから、一番残高不足にならないように配慮されている為です。4月27日、5月27日、6月27日というように毎月口座振替による返済が行われますが、ここでいう延滞とはこの27日から1日でも過ぎてしまった場合のことを指します。

奨学金延滞1日目~翌月の27日までに起きること →催促の電話、文書、警告

1週間もすれば口座振替ができなかったという催促の電話がきます。その後、自宅に奨学金返還の振替不能通知というハガキが郵送されます。加えてその1週間後には個人信用情報機関への登録について(通知)が届きます。これはもしこれからも続いて延滞するのであればブラックリストに登録しますよ。という警告です。この時点ではブラックリストには登録されていません。今回返済することのできなかった奨学金は翌月の引き落としの際にまとめて2か月分請求されます。

奨学金延滞1ヶ月目~2ヶ月目に起きること →連帯保証人に延滞していることがバレる

2回目の引き落とし日にもお金を準備することができなかったため、2ヶ月連続で延滞してしまいました。1回目と同じように催促の電話、奨学金返還の振替不能通知、個人信用情報機関への登録について(通知)が届くことに加えて、今回から連帯保証人に「奨学金の返還について」という文書が届きます。つまり、この段階で早くも両親や親族に奨学金の返還が滞っていることがバレます。※保証料を支払い連帯保証人を設定しなかった場合は届きません。

返済が滞っている2か月分の奨学金は翌月の引き落としの際にまとめて3か月分請求されますが、今回より延滞金を支払う必要があります。現在の延滞金は最大で年10%となっていることから仮に2万円を2ヶ月滞納した場合、延滞金はおおよそ300円程度です。この延滞金は後々、ボディブローのようにジワリと増えてきます。

奨学金の延滞3ヶ月目~6ヶ月目に起きること → 晴れてブラックリスト入り。

3ヶ月連続で返済を延滞してしまいました。ここで晴れてブラックリストに登録されます。ブラックリストに一度登録されてしまうと延滞を解消したとしても5年間はどうあがいても削除することはできません。また自分がブラックリストに登録されているかどうかはお金を払うことで確認することができます。

割賦販売法・賃金業法指定信用情報機関 株式会社シーアイシーにて確認

消費者のローン等のクレジット事業を営む企業(銀行、日本学生支援機構)などが共同で出資して設立した信用情報機関。ここでブラックリストの情報が各企業に共有されていますが、1000円程度支払うことで自分も見ることができます。はっきりと延滞している事実が記載され、共有されていることが確認できるので心臓に悪いです。氏名、住所、生年月日、電話番号、貸与額など情報は全て筒抜けになると考えていいでしょう。

奨学金の延滞 催促の電話は止めることができない

「次回は割賦金と延滞金を合わせた金額を返済するので、催促の電話を止めてもらえませんか?」というような相談は取り合ってもらえません。加えて自宅等の訪問により催促も行われているため、逃げることも不可能です。

ブラックリストに登録されないようにできること

返還額を半額に減額してもらう。

災害、病気、経済困難、失業など返還が難しい事情が生じた場合、毎月の返済額を半分に減らすことが可能です。これを減額返還と呼びます。経済的な理由であれば年収が325万円以下であれば適用されると考えて良いです。大学卒業後すぐに働きはじめた場合、年収300万円に届かない人も多いことから大部分の人が利用できる制度です。最大で10年間適用することが可能です。

返還期限自体を先延ばしにしてもらう。

こちらも減額返還制度と同じように経済的な理由などであれば返還期限の猶予を願い出ることができます。こちらは年収が300万円以下と少し条件が厳しくなっています。最大で10年間返還期限を先延ばしにすることができます。

返還を免除してもらう。

精神若しくは身体の障害により働くことができなくなった、もしくは労働能力に何かしらの高度な制限を有することで返還が不可能になった場合、奨学金の返還を免除してもらうことが可能です。もちろん本人が交通事故などで死亡してしまった場合もこれに当てはまります。

それでは具体的にどのような障害であれば返還の免除が行われるのでしょうか?

日本学生支援機構が定めている「業務方法書」について

どのような障害であれば免除が適用されるのかは日本学生支援機構が公開している業務方法書に記載されています。

第25条 令第7条第1項の精神若しくは身体の障害とは,別表第6の第1級の項に掲げる精神又は身体の障害の状態とし,免除する額は返還未済額の全部とする。
2 令第7条第2項の精神又は身体の障害とは,別表第6の第2級の項に掲げる精神又は身体の障害の状態とし,免除する額は返還未済額の4分の3以内の額とする。

第1級 次の障害であれば全額免除

1 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあるもの
2 両眼の視力が0.02以下に減じたもの
3 片目の視力を失い,他方の目の視力が0.06以下に減じたもの
4 そしゃくの機能を失ったもの
5 言語の機能を失ったもの
6 手の指を全部失ったもの
7 常に床について複雑な看護を必要とするもの
8 前各号に掲げるもののほか,精神又は身体の障害により労働能力を喪失したもの

第2級 次の障害であれば半額免除

1 両眼の視力が0.1以下に減じたもの
2 鼓膜の大部分の欠損その他の理由により両耳の聴力が耳かくに接しなければ大声を解することができない程度以上のもの
3 そしゃく及び言語又はそしゃく若しくは言語の機能に著しく障害を残すもの 54
4 せき柱の機能に著しい障害を残すもの
5 片手を腕関節以上で失ったもの
6 片足を足関節以上で失ったもの
7 片手の三大関節中の二関節又は三関節の機能を失ったもの
8 片足の三大関節中の二関節又は三関節の機能を失ったもの
9 片手の5つの指又は親指及び人差指を併せて4つの指を失ったもの
10 足の指を全部失ったもの
11 せき柱,胸かく,骨盤軟部組織の高度の障害,変形等の理由により労働能力が著しく阻害されたもの
12 半身不随により労働能力が著しく阻害されたもの
13 前各号に掲げるもののほか,精神又は身体の障害により労働能力に高度の制限を有するもの

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