奨学金制度と大学進学

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新聞奨学生はお勧めしない!実録!経験者からのアドバイス

私は中学~高校生の頃に新聞配達をしていました。たた単純にお金が無かったというのもありますが、「自分で使いたいお金は自分で稼ぐ」という強い意志があったため、学校に行く前に1時間~2時間程度の朝刊配達をしていました。

そんな私は大学に進学する時、新聞奨学生を選びませんでした。新聞奨学生がどのようなものになるか、容易に想像できましたから・・。その理由は後述しますが、一部のネットで言われているような奴隷状態になった。というものではありません。別の理由で新聞奨学生を検討しませんでした。

ここではそんな私が新聞奨学生を選ばない理由。お勧めしない理由をアドバイスしたいと思います。

そもそも日本学生支援機構の奨学金とは別に、日本の新聞社も奨学金を実施しています。それが新聞奨学生と呼ばれるものです。毎日新聞配達業務を行うことで新聞社が学費を肩代わりしたり、下宿先を準備してくれたりする。例えば大手新聞社が実施している新聞奨学生の募集要項は次のようなものになります。

大手新聞社の新聞奨学生 募集・給与・仕事内容など

一口に新聞奨学生といっても各新聞社によって内容が異なる。例えば日経新聞の奨学金は集金や勧誘は基本的に無しだが、読売新聞は集金や勧誘をする必要がある。簡単に各新聞社の要点をまとめ、比較してみる。

日本経済新聞育英奨学会 4年生コースの場合

URL:https://www.nsn-tokyo.jp/ikuei/life/index.html

4年間新聞奨学生として新聞配達をすることで日経新聞が学費を最大450万円まで学費を支払ってくれます。つまり、国公立大学であれば実質、学費負担0で進学することが可能です。加えて完全個室の部屋を無償貸与してもらえることから住居費費用も心配する必要はない。1日の新聞配達の目安時間は朝3時から6時までの朝刊配達3時間+15時から17時の夕刊配達2時間の合計5時間のスケジュール。月に6日の休日有り。

読売育英奨学金 Bコースの場合

朝刊、夕刊の配達、チラシの折込、PR業務その他事務処理など1日5時間程度。奨学金とは別に月12万円近い給与、年に数万円のボーナスが有り。住居は完全個室のアパートを無料で提供、4年間で最大440万円の入学金、授業料といった学費を読売新聞育英会奨学会が立替え支払い有り。月に6日の休日あり。集金は月末の土曜日日曜日に集中して実施。読者から購読料金を集金する必要有り。

産経新聞奨学会 4年生大学コースの場合

配達は毎朝3時間程度、朝刊のみ。自分が配達している担当の読者の集金をする必要有り。チラシ広告の作成といったPR業務、領収証の作成、以前の購読者への再購読アピールなどの営業活動有り。奨学金とは別に毎月12万円近い給与有り、月に4日の休日有り。4年間で最大400万円の給付型奨学金。その他4月から翌年の3月まで勤務すると貫徹奨学金として18万円の支給有り。

一見すると非常に魅力的な内容となっているが・・・

どの新聞各社も新聞奨学生になれば、卒業までの学費が400万円以下であれば新聞社が負担してくれて、さらに月12万円程度の給与、無料で住居提供有りと破格の待遇となっている。一体どれだけの費用を負担してくれているのかざっくり計算してみよう。

新聞奨学生 1年間の収入相当額は300万円以上、時給換算1981円相当

新聞社学費肩代わり分 400万円÷4年間=100万円/年

給与 月12万円×12ヶ月+賞与等10万円=154万円/年

アパート代 月5万円×12ヶ月=60万円/年

1年間の収入相当額は100万円+154万円+60万円=314万円

時給の計算(月4日休み、1日5時間の勤務と仮定)

勤務日数 365日-12ヶ月×4日=317日/年

時給相当額 314万円÷(317日×5時間)=1981円(四捨五入)

各新聞社が公表している新聞奨学生の情報を利用し計算してみると年収は300万円を超え、自給は1900円を超えることが分かる。美味しすぎる。

ハローワークで募集されている新聞配達員の給与は年収300万円、時給1263円程度

では、新聞奨学生としてではなく、生業として新聞配達をした場合どれくらいの収入になるのだろうか?1日5時間程度の勤務で年収300万円相当を超えるのであればフルタイムで働いた場合400万円を超えてもおかしくないですね。ハローワークにて新聞配達員というキーワードで検索してみた結果、次のような求人がありました。

新聞配達店スタッフ(住み込み可) フルタイム

就業時間 1時30分~5時30分 朝4時間。14時~16時40分 午後約3時間。1日7時間。

毎月20時間程度の残業有り。月5日の休み。

月給 17万5千円+住宅手当3万円+営業手当2万円=22万5千円

賞与年20万~40万円(前年度実績)

年収相当額 22万5千円×12ヶ月+賞与30万円=300万円

時給相当額 300万円÷((365日-(12ヶ月×休み5日))×7時間+(残業20時間×12ヶ月))=1263円(四捨五入)

新聞奨学生と新聞配達員の時給の差は700円以上の乖離

新聞奨学生と新聞配達員では時給が700円以上異なることがわかる。もうお気づきの方もいるだろうが。何かカラクリがありそうですね。

私が新聞奨学生をお勧めしない理由

さて、新聞奨学生と新聞配達員。業務内容はほぼ同じにも関わらず、新聞各社のホームページの募集要項とハローワークの求人では時給換算すると大きく乖離があることはお伝えしました。これが何を意味しているのかは推測して頂ければと思います。では、私が新聞配達を経験して感じたデメリットの点を紹介いたします。

年末年始の休みがあるとは思ってはいけない。それどころか外泊すら難しい

年末年始はめちゃくちゃ忙しいです。新聞を取っている家庭であればご存知でしょうが、年始の折込広告は量がものすごく多いです。新聞1部が5cm程度の厚みがある為、折り曲げてポストに入れることすら不可能。そんな新聞を大量に配達する必要があることから、1度で全ての新聞をバイクに積み込むことは不可能。何度も詰め所と往復する必要あります。仕事だからやむ終えませんが。正月早々ひどい目に会います。

もちろん「年末年始だからたまには実家に数日帰ろうか」なんてのも無理。帰るなら月に数日ある休みの日に日帰りで帰るしかありません。お盆?ゴールデンウィーク?そんなものありません。新聞配達をしている限り連休などという贅沢はできないと考えていいでしょう。

毎朝、真っ暗の中、犬に吼えられる。 その他恐怖体験

新聞は早朝の日が昇っていないときに配達します。そんな真っ暗な中にて配達をすることからおそろしい体験がいくつも待ち受けています。私の場合は犬を飼われているご家庭への配達がいろんな意味で怖かったですね。防犯のためではあるのですが玄関のすぐそこに犬小屋があり、新聞を投函するには犬小屋にかなり近づく必要があります。

少しでも物音を立てると、眠っていたはずの犬がすごい勢いで飛び出して吼えてきます。想像してみてください。辺りは真っ暗で1m先も上手く見えない中、急に鎖がぶつがる「ガシャガシャガシャー」という音と「ウワン!ワン!ワン!」という敵意むき出しの鳴き声が襲ってくる恐怖。おまけに「パッ」と点灯する部屋の明かり。毎日、犬を起こさないように忍び足でした。

また私の配達ルートはお墓の横を通る必要がありました。そこは神様を祀るちょっとした神社のような雰囲気の建物があり、夜中は小さな明かりがいつも灯っていて、真っ暗とは別の何か怖い雰囲気を感じ取っていたのを今でも覚えています。1日だけ、明かりが灯っているはずの建物が真っ暗な日がありました。「電球が切れたのかな?」と思いましたが、怖いので近寄ることすらしませんでした。すると遠くから「ピーポーピーポーピーポー」と救急車の音が聞こえてきました。「こんな早朝からなぜ救急車が?」と思っているとその救急車の音が段々と近づいて来ていることに気がつきました。「これはやばい」と一目散にその場を離れ、それ以降は多少遠回りをしてもお墓に近づかないようにしました。そして配達中は音楽をガンガンに掛けて周囲の音をシャットアウトするようにもなりました。

そもそも朝の3時ごろから4時頃という車が非常に少なく、ほとんど人が寝ている中、救急車ってサイレン鳴らさないですよね?本当に怖かったです。

雨、雪、台風?新聞配達にそんなの関係ねぇ!

雨の日は新聞配達はものすごく大変です。あんなにも水を吸い込みやすい新聞をどうやって守れって?そりゃビニール袋に覆われているとはいえ、こっちは全身カッパでずぶ濡れ状態、指先も冷たい雨でカッチカチでしわしわ。むりげーでした。

雪が降った?おぉー一面銀世界。未踏の新世界に自分が初めて足跡を付ける快感なんてものは一瞬で終わります。この雪に覆われた道路を2輪車で走行しなければなりません。これも無理げー。派手に転びます。だから基本的に歩いて配達しますがそうなると時間がかかります。つまり、「さーて雪が降りそうなのか、朝2時ぐらいにはおきて準備するかな」というようになります。

台風?おーこりゃすごい雨、風。でもそんなの関係ないっすよ。早朝に配ることができない新聞なんて新聞の価値が無い。時間通りに配りますよ!

相当根性が座った人でなければ新聞奨学生は続かない

いきなり、社会人としての理不尽な世界が待っています。甘えたことを言ってられません。仕事としてまっとうする責任が発生します。学生生活と両立させようと思えば半端な覚悟じゃ務まりません。大学生活中に友人と遊ぶ?彼女彼氏とお泊りデート?サークルで飲み会?合コン?課外活動?そんなことに時間を割く体力や時間はほとんど残りません。

大学生活中は 学業と仕事 それ以外は切り捨てる。

ぐらいの覚悟じゃなければ本当に務まらないと思います。だから私は新聞奨学生は辞めました。

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